2007年4月10日      

セメントを金属に変身させることに成功

〜 ナノの構造を利用した現代版錬金術 〜

研究の背景

 地殻の99%は、酸素、ケイ素、アルミニウム、カルシウムなど8つの元素から構成されている。これらの元素は 酸素と結びついて(軽金属)酸化物として存在している。それらの酸化物は、ガラス、セメント、陶磁器などに原料として広く使用されているが、電気を通さないことは常識である。

 東京工業大学フロンティア創造共同研究センターの細野秀雄教授らのグループは、絶縁体としてよく知られている上記の軽金属酸化物を、ナノの構造を利用し、半導体や金属に変えることを研究してきた。

 同グループは、2003年にC12A7を半導体に変えることに成功したが、金属にまで変えることが出来なかった。シリコンなどの半導体は、電子をドープしていくと、電気の流れやすさがどんどん増大していって、ある閾値の濃度を超えると金属状態に変わることがよく知られている。しかしながら、C12A7のような典型的な絶縁体が、金属状態にまで変えられるかどうか興味が持たれていたが、これまで実現していなかった。


図1.C12A7はクラーク数(地球上の地表付近に存在する元素の割合を重量パーセントで表したもの。人類が利用できる範囲にある元素の豊富さの順番)が1,3,5位のありふれた元素から構成された、見かけ上は何の変哲もない単なる白い粉でセメントの一成分。


トップ研究の背景研究の成果今後の発展


最近の研究から