光科学異分野横断萌芽研究会の趣旨
我々はこれまで、光物性物理、光化学、生命科学、分析化学などの分野における「光」と関連した若手研究者(講師、助教、PD、博士後期課程の大 学院生等)を主体に、 関西圏を中心とした光科学若手研究会を年2回のペースで開催しておりました。このような趣旨のコミュニティーは様々な研究分野や地域の組み合わせで数多く存在しておりますが、 本研究会は普段は顔を合わせる機会が少ない異分野の中堅・若手の研究者が親睦を深め、連携を強めることで光科学のブレークスルーを目指すものです。 特に、10年先の光科学の新規研究領域開拓のための基礎構築に繋がるボトムアップ的な活動と位置づけて企画をいたしました。
特に、20世紀に細分化した光関連分野の知識や技術の集約が次世代の新分野創成の鍵となると感じています。 そのため、このステージに進むには、光をキーワードとする、もしくは光をツールとしてこれから使いたいと考えている、 各分野の次世代を担う若手研究者同志の交流・議論の場が必要と考えました。さらに、このような試みを学会のような個別の光領域内での研究会とは全く異なる、公開の下で行うことが重要と考えています。
このような交流の場が必要と考えるに至った背景には、昨今の風潮も密接に絡んでいます。例えば、長期に渡る不景気のため、 大型予算のテーマ設定も出口イメージの明確な応用研究への重点化がますます顕著になり、 基礎研究や、新しい原理・現象の探索に挑戦するような研究を中心とする若手研究者にとっては単独での予算獲得が徐々に厳しい状況になりつつあります。 このような状況が続けば、光科学の分野だけでなく基礎科学を志す若手研究者の減少や、我が国の科学技術を支える基礎研究の停滞に繋がり、応用研究や産業界も将来的に大きなダメージを受けるものと懸念されます。
これらの問題解決には、異分野の研究内容に関して個々にインタラクティブにじっくりと議論を行える機会を提供し、若手研究者同士の緊密な連携を誘発することが鍵と考えます。 そのためには、若手研究者が主体となって、合宿形式かつオープンな形で異分野横断を目指す「ポータルサイト的な役割」を担う本研究会が必要不可欠と考えるに至りました。