詰みのない詰将棋

  毎日の政治ニュースのくだらなさにうんざりしている。二三か月前までは、大阪のどこかの私立学校(森友学園だっけ?)の土地取得問題で明け暮れていたのに、いつのまにか立ち消え状態となり、いまは加計学園の獣医学部新設問題でもちきりだ。野党と大手メディアは、どちらも安部首相またはその周辺が政策決定に不当に影響力を行使したと印象付けたいようだが、どう見ても無理筋としか思えない。

 獣医学部新設問題では、怪文書めいたメールが文科省の中からリークされて出てきた。官邸側は、そんなものは踏み潰して行けると判断して、ぞんざいに扱ったので、こじれてしまった。しかし、こんなメールは組織内部ではいくらでも飛び交っているだろう。「それで?」というレベルの話だ。

 要するに野党側も一部メディアも、不正がなされたという決定的な証拠を何一つ持っていないのだ。やむを得ず、騒ぎ立てて少しでも現政権の印象を悪くしておこうと言う姑息な動きしかできない。ほかに重要な政治課題が山ほどあるだろうに。

 将棋では、勝敗が決まる一手というものがある。終盤で、嵩にかかって攻めている方が一見優勢に見えるが、詰め切れなかったときは、即、敗北に転じる。勝負手が敗着になるのだ。

 今の政局は、詰みの無い詰将棋である。プロなら詰みが無いことは、盤面を見て即座に分かるはずだが、素人はゴタゴタと指してみるまで分からない。付き合わされる方はたまったものじゃない。野党には本当の政治家も勝負師もいないのか。

 本日日曜日のNHKの討論番組で、最後に民進党の野田幹事長が、「李下に冠を正さず」うんぬんと言い始めたのでビックリした。これは敗北宣言ですか?


                                        (June 2017)

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