確率って難しい

 あなたが旅行で飛行機に乗るとして、爆弾を持ったハイジャック犯と同じ飛行機に乗り合わせてしまう危険を避けるにはどうしたらよいか?答えは、あなたも爆弾を持って乗り込む、である。ある飛行機に爆弾を持った人間が一人乗っている確率をpとすると、爆弾を持った人間が二人乗っている確率は、統計的独立性から p×pとなる。明らかに p <<1 であるから、p×p は無視しうるほどに小さくなるであろう。よってあなたは安心して旅行ができる!

 これは数学者 Mark Kacの自伝 Enigmas of Chance に載っていた小話である。これがジョークであることは、多分、どなたにもお分かりであろうが、(ちょっと、そこのあなた、もちろんジョークなんですよっ!)私達は、これに類した間違いは、日常生活ではしばしば犯している。先日も、ある作家の随筆を読んでいたら、ちょうどガルーダ・インドネシア航空機の墜落事故があった頃の話で、「家族の一人がニューヨークに出かけたが、飛行機が落ちたばかりなので確率的に今は安全だ」と書いてあった。(つまり、2度も続けて飛行機が落ちる確率は p×p ≒0 だと言うこと。)これは笑ってしまったけれど、この作家は途方もない奇人として知られている人なので、ひょっとしたらこれもジョークなのかも知れない。

 パスカルに始まる確率論が賭博の研究から生まれたごとく、賭け事と確率論は切っても切れない関係にある。そこで問題。

 さいころ賭博をしていて、丁の目が10回続けて出ました。さて、あなたは、つぎは丁、半どちらに賭ける?正しい方に○をつけよ。
(1)11回も続けて丁が出るはずがない、次ぎは半だ!
(2)勢いってものがあらーな。この調子なら次も丁!

正解
 どちらも正しくありません。これはイカサマです。すぐにやめましょう。

確率って難しい。

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