こんなセリフ、言ってみたい

一生に一度は言ってみたい、こんなセリフあんなセリフ。(伝聞を含むので全部は信用しないでね。)

「で、それはボクのどの仕事に対して?」
S. チャンドラセカール(1910-1995) ノーベル賞受賞の知らせを聞いて。若い頃に行った恒星進化の理論的研究に対して1983年受賞。

「おおい、どの船でもよいから引き返して乗せてくれ」
源経信(1016-1097) 白川天皇が嵐山で行った三船の催し(それぞれの得意に応じて漢詩、和歌、管弦のどれかの船に乗り芸を競う遊び)に遅れて参じ、岸から船にこう呼びかけたという。このセリフを言いたいがために、わざと遅刻して来たという説もある。

「証明は平民どもにまかせておけばよい」
カステルヌオヴォやエンリケスなどのイタリア学派の誰かが言ったという。代数曲面の分類を最初にやったが、証明はかなりいい加減だったらしい。

「それは質問ではなくて陳述である」
P.A.M.ディラック(1902-1984) 講義の後「何か質問は?」とのディラックの言葉に、式の変形がよく分からなかった、と質問した学生に対して。 また、ディラックの講演にオッペンハイマーが質問したところ、ディラックは
Your question is not interestingと答えたという。質問するのも大変だ。

「わしは二つも定数はいらない」
M. プランク(1858-1947) 微視的状態の数とエントロピーを結びつける式 S=k
Blog W はボルツマンの式と呼ばれているが、ボルツマンの論文では、もっとゴタゴタと書いてあって、この形に整理したのはプランクである。プランクの弟子の一人が「あの定数kBは先生の名前で呼ばれるべきですね」と言ったとき、プランクがこう答えた(高橋康著「理論物理の話」日本評論社)。これは高橋先生が当の弟子から直接聞いた実話だそうだ。

「間違いですらない」
W.パウリ(1900-1958) ある研究者の理論について意見を聞かれて。ミもフタもないねこりゃ。
パウリは死後にまで名セリフを残した
(早川書房「セカンドクリエイション」から)。パウリが死んで天国に行き、神様の前に出た。神様は、パウリの生前の行いが感心であるので、御褒美に知りたいことがあれば何でも教えてやろうと言った。パウリが「それでは微細構造定数の謎について教えて下さい」と頼むと、神様はお安い御用だと、黒板にチョークで式を書いて説明を始めた。パウリは嬉しそうに神様の講義を聞いていたが、その顔が次第に曇って来る。そのうち首を左右に振り始める(機嫌が悪い時のパウリの癖)。そして、とうとう立ち上がって言った。「全然、違ってる!」

「愚人にほめらるたるは 第一のはぢなり」
日蓮上人 (1222-1282) こんなセリフの言えたひとは、やはり天才だったのだろう。

「私は午前中は酒を飲まないことにしている」
フィリップ・マーロウ(19??-19??)  マーロウ氏は出かける前に、よくビールを飲む。もちろん車で出かけるわけだが・・・。

                                  (Feb. 2006)

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