巨大地震

 2011年3月11日(金)午後3時ごろ、大学のセミナー室で大学院生の諸君と会議をしていた(「異分野融合研究会運営会議」)。何だか身体がフラフラするなと思っていたら、窓のブラインドがゆっくりゆれているのが見え、地震だと分かった。振幅が大きく異常に周期の長いゆれである。

 
大学院生のM君の顔色が青ざめている。
「僕は阪神淡路大震災に遭っているので恐いんです」
とこわばった顔で言う。
東日本を襲った巨大地震のゆれが、関西まで伝わってきた瞬間だった。

 それから10日たった今も悲劇は続いている。信じがたいような大津波による被害と、福島第一原発の破損(というよりは崩壊)という二つの国家的災厄と日本は苦闘している最中である。地震・津波対策、電力問題をどうするか、危機管理体制、報道のあり方などなど、いずれ長い時間をかけて検証していかなければならない問題が山ほど出てくるだろう。

 ここでは一つのことだけ申し上げたい。それはテレビの報道番組で見る現場で働いている人たち(消防士、警察官、地方公務員、医師、その他大勢の普通のひとたち)の立派さである。黙々と仕事をこなし、インタビューにも理路整然と答えている。この国の隅々にいる日本人の人間としての質の高さを感じる。そういう日本人が、8459人も亡くなり、なお1万人以上が行方不明になっている(3月21日午前11時現在)。悔しい。

                                      (March 2011)

 

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