ギャグだと言ってくれ

時事ネタ・政治ネタは書かない方針だったが、近頃、「ギャグだと・・・」と言いたくなる話が多すぎる。

人間の真価を、その人物の立ち居振舞いや言葉から判断するのはなかなか難しい。いかにも軽そうだったり、頼り無さそうな風体の人物が、実は大変な能力者だったり大人物だったり、ということは良くある。しかし、このセリフを言ったらおしまいよ、という「無能の証明」になるセリフはある。

    米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題で、日米関係の信頼関係を
   
損ないかねない状態に陥っている。 鳩山由紀夫首相は同日、「一生懸命努力していること
   
だけは認めてほしい」と語った。(産経新聞2009年12月16日)

「努力だけは認めて欲しい」
と62歳の総理大臣が言った。私はこれを聞いて、思わず持った盃をポトリと落としてしまった。

この人はいったいぜんたい何のために、何がしたくて総理大臣をやっているのだろう?

自分の知るかぎり、統治能力において戦後最低の総理大臣は鈴木善幸だと私は思ってきたのだが、それをはるかに上回る(下回る?)人物が出てきた。
今、「コイツよりは私の方が仕事が出来る」と真面目に思っているビジネスマンや経営者が、少なく見積もっても日本全国に10万人はいるだろう。上から数えて10万番目以下の能力しか持たない人が日本国の総理大臣なのである。

むかし祖父の鳩山一郎は、庶民のゴミ箱を覗き込んでいる写真を新聞報道させて、その偽善と無能ぶりを小林秀雄に嘲笑されていた。血は争えないと言うべきか?

日本有数の大企業の大株主から12億円の金を貰い、そしらぬ顔で事実上の脱税を行っていても、あちこちに期待を持たせて結論を先送りするという一番やってはいけないことをしても、最後に会った人の意見が上書きされる鳥頭でも、何の方策もないのに「こうだったらいいのになー」というレベルの願望をまき散らしても、実務に徹しなくてはいけない土壇場で無意味な哲学を論じても、その場しのぎの意味不明の言説を弄しても、目がキョトキョトと落ち着きなくても、顔を見るだけでめまいと吐き気がしてきても大目に見てやろう。だが、
「努力だけは認めて欲しい」
と言ったら、即アウトだ。君、もう家に帰って寝てなさい。明日から来なくていいからね。

この人のボスである小沢一郎の政治手法も、もう飽き飽きだ。政敵の弱点を見極め、無理難題を吹っかけて追い落とすことが、彼にとって政治というものの殆ど全てなのだろう。これは自由民主党時代に、彼の頭に刷り込まれてしまった固定観念である。よくいるでしょう、町内会や親戚のおばさんにこういう「実力者」が。皆に嫌がられているけれど、誰も表立って反対できない。私には、小沢一郎が、オバマやプーチンや胡錦濤らと渡り合って、国際政治を切り回してゆく姿が想像もできない。

ところで白状すると、鳩山由紀夫も小沢一郎も、私の高等学校の同窓生なのです。どうも済みません。立派な人もたくさん卒業しているのですが・・・。

                              (Apr. 2010)

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