心に残るテレビ・コマーシャル
最近のほとんどのテレビ・コマーシャルは、早口で何をいっているのか聞き取れない音声、刺激的すぎる色彩とフラッシュ効果のゆえに、私にとって苦痛であるが、それでもいくつか、嬉しくなってしまうのもあった。2時間のドラマより、15秒のコマーシャルに掛ける製作費の方が大きいのだから(いかにも安上がり、というのもあるけれど)、よく出来て当然と思うが。
- 資生堂(?)ヘアムース
ボクシングの試合。3分間のファイトが終わり、ふらふらのボクサーがコーナーに帰ってくる。椅子に座るとヘアムースを頭にぬり、セコンドの差し出す鏡にむかって櫛で入念に髪の毛を整え、ゴングとともに再びリング中央に出て行く。これをとんねるずの二人が演じている。私は謹厳な某先生が、このコマーシャルを見て思わず吹いたのを目撃している。これのパクリが、この後いくつも作られたが、オリジナルには及ばない。
- とんこつラーメン
三蔵法師の一行と山賊達の闘い。三蔵法師には観月ありさが扮している。孫悟空が如意棒で突くと、敵は次々とんこつラーメンになってしまう! 勢いあまって猪八戒を突いてしまい、とんこつラーメンになってしまった八戒を見てうろたえる悟空。三蔵法師は可愛い顔でにっこり笑い
「いいじゃない。豚だもの」
これは強烈だったが、一瞬にして消えてしまった。たぶん、どこかから下らぬクレームでも付いたのだろう。
- サントリーウイスキー「膳」
車の中。別れる男と女。
女、涙声で
「私達、生まれ変わったらまた逢えるといいね」
男、一瞬の間をおき
「全然!」
- 引っ越しのサカイ
「さかいー、安いー、仕事きっちり」
最近、これの新しいバージョンが出た。女同志(?)の空中体当たり。こういうコマーシャルを作れる人は天才としか思えない。
こうして見ると私が好きなのは、俳優が芸達者で毒のあるコマーシャルが多いようだ。それにしても映像を文字に起こすのは難しい。
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