備品

 研究費で買った備品の管理が大切なことはもちろんだが、なかなか大変だ。私の所属する大学では備品と消耗品の境目の金額が低いので、私のようなケチな理論屋でも少額の備品が結構たまる。こう見えても私は根が真面目なので(気が小さいともいうが)こういったものの管理には神経を使う。

 最近、備品の検査があって、6年前に買ったb-mobile(携帯用の通信端末)が備品であることを知った。これは半年か1年の契約で使うもので、使用期限が過ぎればただのゴミである。大きさは親指ほど。備品番号シールはどうやって貼りますのん?しかし、備品であるからには原則、永遠に保管し続けなければいけないのである。今回、事務にお願いして、書類を書いてようやく廃棄処分にしていただいた。正確には「除却処分」というらしい。経理用語は難しくてわからん。

 マンガの「こち亀」には背中に「備品」と書かれた亀が登場する。亀有公園前派出所の備品だ。かれは根性のある備品亀である。

 それで思い出したわけではないが、実験家で助教(当時)のOさんは、ボスの転勤にともなって、一緒に同じ大学へ転勤した。正確に言うと、ボスの持っていたレーザー装置と一緒に転勤したという噂である。精密に微調整されたレーザーを正しく扱えるのはOさんしかいないからである。
Oさんは
「私は備品なのです」
と言っているが、それを聞いた某教授のいわく
「いや、消耗品かもしれないぞ」


                                           (Sept. 2012)

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