Invited Poster

 今年のEXCONはオランダのグローニンゲンであった。私も論文を出したが、ポスターセッションに回された。まあ、励起子にはほとんど関係のない話だから仕方ないだろう。

 その会場で聞いた、最近、日本で行われた国際会議で本当にあったという話。

 その分野では有名な某教授が、会議に論文のアブストラクトを送ってきた。プログラム委員会で、その論文の担当となったのは、まだ若い研究者だったらしい。著者が大物であることに気づかず、ポスター発表に仕分けしてしまった。会議直前になって、ビッグ・ネームがポスターセッションに入れられていることにベテランの組織委員が気付いて慌てた。しかし、すでに時間的余裕がなく、やむなくとった措置が「招待ポスターセッション」を作ることだった。有名教授のポスターだけが、他のポスターからは離れた場所にInvited Posterとして掲示されていたそうである。

 帰国後、友人にこの話をしたら、何と機械工学系のさる国際会議では、本当にInvited Poster Sessionというのがあるのだそうだ。


 国際会議の発表をエライ順序に並べると

Keynote Talk(基調講演)>Invited Talk(招待講演)>Oral Presentation(口頭発表)>Poster Presentation(ポスター発表)

ということになるだろう。そこにInvited Posterという新しいクラスができたことになる。これが上のヒエラルヒーのどこに位置するかはやや微妙な問題であるが、OralとPosterの中間が妥当なところか。

 

 昔は飛行機の座席にはファーストクラスと普通席の2種類しかなかったが、その中間にビジネスクラスができ、普通席はエコノミークラスという苦しい名前に変わった。さらに最近ではエコノミークラスとビジネスクラスの間にプレミアムエコノミークラスというのもできて、ますます細分化されている。すなわちエライ順では

ファーストクラス>ビジネスクラス>プレミアムエコノミークラス>エコノミークラス

である。Invited Posterは国際会議のプレミアムエコノミークラスなのかも知れない。

 

                              (July 2012)

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