ATM論文
だいぶ以前に自分のホームページに書いた駄文「論文倍増計画」に、新聞社の方が興味を持たれて、最近、大阪府立大学でインタビューを受けた。それが記事になって出た。大変まじめなよい記事にしていただいてほっとしている。URLはこちら。
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/kansai1335157732988_02/news/20131219-OYT8T01084.htm
ところで表題のATM論文とは共著者の多い論文(Authors_Too_Many Paper)のことである(断っておくが私の造語)。史上最高のATM論文では著者の数はどれくらいだとお考えだろうか?200人?300人?いえいえそんなものではありません。グループ名ではなくて個人名が出ている論文としては、たぶん2458人の共著論文が最高だろう。これは日本の循環器関係の学会から出ている欧文誌(Circ
J)に載っている論文で、著者は全員日本人である。
私がこの論文に遭遇したのは、著者の一人にKayanumaさんがいるからである。最近、友達と共著で書いた論文に関する情報を知る必要があり、Web of
Scienceでkayanuma and *** といれて検索したら先頭にヒットしたのがこれである。だから皆さんも、もしこの論文を知りたかったらkayanuma
and の後に、日本人のありふれた名前を一つ二つ入れて検索すれば必ず見つかる。なにしろ2458人ですからね。日本人のよくある名前はほとんど網羅しているはずだ。もしヒットしてWeb
of Scienceの画面で検索結果が表示されても [View
Record] をクリックするときは覚悟しておいたほうがよい。思わずゾワーッ
となる何かがモニター上に映し出されるから。
論文のアブストラクトを読むと、なぜこんなことになったのか、およそ見当はつく。どうやらこれはコレステロールを抑える薬の効果に関する追跡調査の報告らしい。調査に関係した日本中のお医者さんの全員が名前を連ねているようだ。あるいは大規模調査だったことを誇るのが目的か?それともギネスブック入りが狙いだったのだろうか(まさかね)。
近頃では研究者は婚活で業績リストを提出するのが普通になっているらしい(ウソです)。しかしこのATM論文はとても婚活には使えそうにない。
論文に名前を連ねるということは、その論文に書かれている内容について責任を持つということだ。ATM論文の著者の皆さんにその覚悟はあるのだろうか?
(Dec. 2013)